2009年4月12日日曜日

ギャラリー巡回

金曜日、久しぶりにギャラリー巡回をしてきました。

Kaikai Kiki Gallery→Motus Fort→CASHI→Taro Nasu

メインはCASHIでNam Hyojun(ナム・ヒョジュン)さんの個展のオープニング。せっかく横浜から東京に行くのだから、行けるところは全部行ってしまおう、と一人ツアーを組みました。


感動しました。
「不覚にも」という言葉も付け足しておきます。

inochi君という立体物と制作過程だけの展示だったら、その完成度の高さと、グロテスクなんだけど、どこか憎めない表情というか風貌をしている様に「う〜ん」と、妙に納得してしまう具合にしか受け取れなかったかもしれませんが、CMとそのメイキングビデオの上映、ポスターの展示が私の中でその作品に対する、もっというと、村上さんのプロジェクト全体の取り組みに対して何かスパークしたのかもしれません。

展示スペースに入ると、どこかなつかしい感じの曲と共に、奥に展示されているinochi君が、CMの中で田舎の小学校(多分5、6年生の設定かな)でキレイな転校生に恋をしている物語が3篇上映されていました。CMの完成度はとても高く、「きもかわいい」inochi君に感情移入ができるストーリー展開になっていて、このCMのおかけでその奥に展示されているinochi君が生きて見えました。

メイキングを見てて、昔、私が広告代理店で働いていた頃一緒に仕事をしたことがある、日本でトップクラスのクリエーティブハウス、シンガタの水口さんや、その事務所で見かけたことのある有名なゴンパさん、東北新社の制作スタッフの方々がメイキング映像の中に突然現れて、なつかしさと完璧な広告制作物(CMとポスター)が村上さんとのコラボレーションによってファインアートの世界でこうもどうどうと展示されている様子が、まったく予想だにせず、、、不覚でした。感動しっぱなしの展覧会訪問でした。村上さんのinochiプロジェクトへの真剣な取り組みは、展覧会でひしひしと伝わってきましたが、あの広告のせっぱつまった現場のすごさ、つらさを知っている私は、「村上さん、よりによってあのシンガタにお願いしたんだ〜。さすがだな。」と思う反面、「相当色々あったんだろうな」と容易に想像がついたので、だから、できあがったすばらしい作品を見ると、おそらく人一倍感慨深い気持ちになったのかもしれません。

inochi君の誕生秘話、コンセプト等は私が語ると薄っぺらな感じになってしまうので上記サイトでじっくりとご覧ください(決して書くのがめんどうな訳ではありません)。壮絶な事になっています。

続いて訪れたのは、神田のMotus Fort「ソーン・アイ」展。


ニューヨークのチェルシーにあったギャラリーをたたんで東京のアートシーンに貢献すべく2008年9月に移住してきたディレクターのJeffery Chiedoさん。日本のアート業界には批評が存在しない、と酷評。基準がないアートにとって、例え酷評であったとしても発展の為には必要なこと。日本人は、お互いがコンペティター同士なのに、皆で褒め合ってお祭り騒ぎにしてしまう傾向があります。それが日本のアートが成長しない部分と指摘し、むむ、確かに、と思いつつ。でも、全て西洋式な成長の仕方が日本人に、日本のアートに向いているかといったら、疑問が残るわけで。日本の今後のアートの存続の仕方を考えさせられました。


Motus Fortから歩いて1〜2分。オープニングは既に終わっていたのですが、開けていただきました。



Nam Hyojunは日本で生まれ、韓国籍を持ち、現在上海に拠点を移して活躍しているアーティスです。Hyojun とは今回色々と話す機会があったのですが、幼い頃から受けてきた朝鮮の教育に影響を受けながらも、日本で育った過程では矛盾を抱えざるを得なかったであろう事が話の端々に感じられ、21歳の若さで、すでに大分大人びているのも十分納得できました。作品にはチマチョゴリを着た顔のない女性が描かれていますが、こういったバックグラウンドを持ったHyojunだからこそ、アイデンティティの意義について深く考え、作品にも強く現れているのでしょう。



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