2009年4月25日土曜日

U TSU WA - うつわ -展@21-21 DESIGN SIGHT


陶作家ルーシー・リィー、ジェニファー・リィー、木の作家エルンスト・ガンペールによる3人展です。企画ディレクション:三宅一生、会場構成:安藤忠雄。

一番圧巻だったのは、木の器でした。しかし、それは展示が彼の独特性を引き出すように展示されていたからの様に思う。陶芸のルーシー・リィーとジェニファー・リィーは、一つ一つの作品はとてもいいのに、その良さが全く伝わってきませんでした。空間としては気持ちがいいのですが、何故か作品とコミュニケーションを取ることがとても難しく、亡くなったルーシー・リィーと対話ができませんでした。

会場構成が安藤忠雄だったから、すごい期待していましたが、正直いって、その展示方法に怒りさえ覚えました。

建築家がキュレーションすると、作品をただの空間を美しくみせる「モノ」としてしか扱っていないのが直ぐに分かりました。この展示スペースは、セレブが集うパーティーのような会場だったら最高の空間だったと思います。でも、作品と閲覧者の関係があまりに遠く、一つ一つの作品に敬意を払っていない、あまりにも自己満足的な展示方法に、ほんとうにがっかりしました。

その頃、ちょうどスマップの草薙くんが逮捕されて日本全国が大騒ぎになっていたとは知らず、緑香る春の温かい午後、ミッドタウンの公園をがっかりしながら歩いていました。


2009年4月24日金曜日

松岡 亮「UNDERCURRENT」@Calm and Punk Gallery


私が活動を始めた、世界に向けて日本のアーティストを発信するARIにアーティストとして参加してくださった松岡亮さんのワークショップ、というか、音楽付きのライブペインティングが「UNDERCURRENT」と題して4月20日(月)にCalm and Punk Galleryで行われました。

私は、国内の活動はサポートしていないので、今回は見学のみ。

UNDERCURRENTとは、今後10年かかる、松岡さんとカームアンドパンクが始めたプロジェクト。その活動の第一弾として開催されました。アートとは、作品を残して価値を付けて行くものですが、松岡さんは真逆を行ってる、というか、作品が生まれる瞬間に発せられるエネルギーを使って、人の心や感情に時下に訴えかけます。視覚から、耳から、その場から放射されるエネルギーから。見るものが体全体を使って作品と対話できる方法は、ワークショップというより、パフォーミングアートだと私は受け取っています。(Photo by 亜弥野









2009年4月12日日曜日

ギャラリー巡回

金曜日、久しぶりにギャラリー巡回をしてきました。

Kaikai Kiki Gallery→Motus Fort→CASHI→Taro Nasu

メインはCASHIでNam Hyojun(ナム・ヒョジュン)さんの個展のオープニング。せっかく横浜から東京に行くのだから、行けるところは全部行ってしまおう、と一人ツアーを組みました。


感動しました。
「不覚にも」という言葉も付け足しておきます。

inochi君という立体物と制作過程だけの展示だったら、その完成度の高さと、グロテスクなんだけど、どこか憎めない表情というか風貌をしている様に「う〜ん」と、妙に納得してしまう具合にしか受け取れなかったかもしれませんが、CMとそのメイキングビデオの上映、ポスターの展示が私の中でその作品に対する、もっというと、村上さんのプロジェクト全体の取り組みに対して何かスパークしたのかもしれません。

展示スペースに入ると、どこかなつかしい感じの曲と共に、奥に展示されているinochi君が、CMの中で田舎の小学校(多分5、6年生の設定かな)でキレイな転校生に恋をしている物語が3篇上映されていました。CMの完成度はとても高く、「きもかわいい」inochi君に感情移入ができるストーリー展開になっていて、このCMのおかけでその奥に展示されているinochi君が生きて見えました。

メイキングを見てて、昔、私が広告代理店で働いていた頃一緒に仕事をしたことがある、日本でトップクラスのクリエーティブハウス、シンガタの水口さんや、その事務所で見かけたことのある有名なゴンパさん、東北新社の制作スタッフの方々がメイキング映像の中に突然現れて、なつかしさと完璧な広告制作物(CMとポスター)が村上さんとのコラボレーションによってファインアートの世界でこうもどうどうと展示されている様子が、まったく予想だにせず、、、不覚でした。感動しっぱなしの展覧会訪問でした。村上さんのinochiプロジェクトへの真剣な取り組みは、展覧会でひしひしと伝わってきましたが、あの広告のせっぱつまった現場のすごさ、つらさを知っている私は、「村上さん、よりによってあのシンガタにお願いしたんだ〜。さすがだな。」と思う反面、「相当色々あったんだろうな」と容易に想像がついたので、だから、できあがったすばらしい作品を見ると、おそらく人一倍感慨深い気持ちになったのかもしれません。

inochi君の誕生秘話、コンセプト等は私が語ると薄っぺらな感じになってしまうので上記サイトでじっくりとご覧ください(決して書くのがめんどうな訳ではありません)。壮絶な事になっています。

続いて訪れたのは、神田のMotus Fort「ソーン・アイ」展。


ニューヨークのチェルシーにあったギャラリーをたたんで東京のアートシーンに貢献すべく2008年9月に移住してきたディレクターのJeffery Chiedoさん。日本のアート業界には批評が存在しない、と酷評。基準がないアートにとって、例え酷評であったとしても発展の為には必要なこと。日本人は、お互いがコンペティター同士なのに、皆で褒め合ってお祭り騒ぎにしてしまう傾向があります。それが日本のアートが成長しない部分と指摘し、むむ、確かに、と思いつつ。でも、全て西洋式な成長の仕方が日本人に、日本のアートに向いているかといったら、疑問が残るわけで。日本の今後のアートの存続の仕方を考えさせられました。


Motus Fortから歩いて1〜2分。オープニングは既に終わっていたのですが、開けていただきました。



Nam Hyojunは日本で生まれ、韓国籍を持ち、現在上海に拠点を移して活躍しているアーティスです。Hyojun とは今回色々と話す機会があったのですが、幼い頃から受けてきた朝鮮の教育に影響を受けながらも、日本で育った過程では矛盾を抱えざるを得なかったであろう事が話の端々に感じられ、21歳の若さで、すでに大分大人びているのも十分納得できました。作品にはチマチョゴリを着た顔のない女性が描かれていますが、こういったバックグラウンドを持ったHyojunだからこそ、アイデンティティの意義について深く考え、作品にも強く現れているのでしょう。



2009年4月11日土曜日

2人っきり



毎年花見と言えば、20人くらいでわりと近場でわいわいやっていましたが、
今年はアートウィーク中に仕事が入ってしまった為、
めずらしくこじんまりと、しかも平日に花見してきました。フリーで仕事してる醍醐味。

上海からちょうど友達が帰ってきてたので、2人っきりで新宿御苑に行き、
ワインを2本買ってもらったので、せっかくなので全部空けちゃいました。
お弁当は私の担当。





夕方頃、ドラマチックな風が何回か吹き、来てる人々をサクラの花びらで包んでいました。


1年ぶりくらいかな〜。久しぶりにゆっくり友達と話せたのでいい時間が過ごせました。
3時間くらい話したのに、帰り道、あれもこれも話してなかったな〜と気づき、
今度は近々私が上海に行こうと決めました。

昼間のワイン、結構酔いました。

2009年4月9日木曜日

101 Contemporary Tokyo Art Fair 2009


今年も無事終わった(?)と思われる東京アートウィーク。

私は、立ち上げたばかりのARIの看板をしょってアートフェア、101 Contemporary Tokyo Art Fair(写真上:三宅信太郎作品「Path to Egypt」)に参加してきました。会期前、いや、少なくとも会期中にはお知らせするつもりが、連日連夜に行事が重なり、はたと気づけば会期終了。

というわけで、事後レポートでご勘弁願いたく。

東京アートウィークの要であるメインの東京アートフェアは、付随して開催された101アートフェアより1日遅く開催し、4月2日に関係者を招くオープニングが例年通り国際フォーラムで開催されました。



こんな写真じゃ、一体中がどうなっているかわからないと思いますが、実際、中に入ったら、写真を撮る気も失せるぐらい人だらけで、「東京っていうか、世界って不景気なんじゃなかったっけ?」ってつっこみたくなるぐらい、文字通り人を押しのけて行く道を進まなければならない大盛況っぷりでした(少なくともオープニングは)。

毎年思うのは、海外からの出展ギャラリーが本当に少ないな、ということです。これは、参加した101にも同じ事が言えます。101に出展した海外のギャラリーは、日本(のアート)に興味がある、又は、日本進出を狙っているギャラリーが多く、純粋に日本のアートマーケットやアート産業に興味があるのではないんだな、という傾向が伺えて、しっとりと残念に、しかし冷静に現実を受け止めました。

アートフェアとはそもそも、アート作品の売買の場として開かれているのですが、101のみの情報ですが、去年から引き続く経済状態の悪さを反映してか、今年は全体の売り上げが去年の20%そこそこだったと言います。日本人はアートは「鑑賞」として捉える傾向がありますが、経済効果も伴って、実際の販売に結びつかなかったことは、大変痛々しい事実ではあります。



私が参加した上海のギャラリー、Andrew James Art Galleryのオーナー、Andrewさんは、とても精力的に日本のアートを上海に紹介してくれていて、そして、東京のアートフェアにおいて日本人アーティストをメインスペースに展示してくれる勢いを見て、何か今後の日本のアートの明るい未来を期待させてくれるような感じを受けました。

そもそも私がこのフェアに参加したのは、上海でアートマネージメント、Office 339を経営している友人の取り扱いアーティストである長沢郁美さんがこの上海のギャラリーの取り扱いになったことで、以前から知り合いだった私を紹介してこの度私が参加した運びとなったわけです。


101の会場は、意外にも秋葉原だったのですが、今年から@GALLERY TAGBOATというオンラインアートショップが秋葉原にあるデジタルハリウッド大学のメインキャンパスでYoung Artist Japan 2009を会期中に同時開催していました。ちょっと残念だったのは、あまり告知がされておらず、知らなかった人も大勢いたんじゃないかな、と。おそらく今後も開催されると思うので、興味のある方は来年チェックしてみてください。



個人的な感想を言えば(さっきから個人的ではありますが)、東京って分散型都市だから、マイアミのアートフェアみたいに一カ所で、ってわけにもいかないから、盛り上げるのにかなりがんばらなければならないしんどい部分はあるかと思いますが、年々会期中にちなんでオープニングを開催するギャラリーも増えてきているとのことなので、来年益々、まずはお祭りでもいいので、盛り上がっていけたらいいな、とは思います。

まずは、今、生きている時代の、生きてるアートを肌で感じて、何か自分にとって生きるヒントになり得るような作品に出会うことができれば、それはすばらしいことだな、と思います。

その出会いのチャンスは、アートフェアにあるかもしれません。