2010年2月9日火曜日

谷口登茂子、吉光健大「呼吸」展 @ Art Beatus in香港




香港の老舗現代アートギャラリー、Art Beatusにて3月5日から26日までARIのアーティスト、谷口登茂子と吉光健大による展覧会「呼吸」が開催されます。



日本に古来から伝わる「気」。

「気」とは、「心」からでている目に見えない一種の触覚、波長のようなものであり、別のいい方をするならば「呼吸」という。呼吸とは、吐く行為と吸う行為の二つの行為を差している。切っても切れない関係。二つの行為の間に存在する「間」が、様々なリズムを生みだす。自身で感じる生命のリズムであり、そのリズムが相手に与える印象を造り出す。又、二人の人間の間に存在する呼吸のリズムが、二人の間に特別な関係を生み出す。

戦前に生まれ、戦後の広島で育った谷口と、30年以上経った戦後に生まれた吉光は世代の差こそあれ、「戦争」をきっかけにその制作スタイルを探求するところに共通点を見いだせる。

谷口は、広島の地で親戚を原爆で亡くし、今でも忘れる事ができない苦い想い出を胸の内に抱えている。「今という一瞬が存在するのは過去と未来を共に生きていること」と主張する谷口は、命が循環し、連鎖を繰り返す事を願ってやまない気持ちの現れであり、その思いがこの度の作品に「時間差」のコラージュとして表現されている。コラージュの間の線は、絆そのものであり、呼吸する生命の間を表している。

また吉光は、日本の現代の若者の多くがそうであるように、平和な日本でぶつける対象がない為に起こる虚無感や不穏さといった感情に向き合いながら、世界中に尚も存在し続ける「戦争」に目を向ける事でそのナイーブな内面をキャンバスの上に吐き出している。今回挑戦しているキャンバスに施された油彩を「えぐり取る」表現は、吉光が感じる現代の飽和状態にメスを入れ、過去に日本が体験した、又、今も尚続いている世界各国の戦争へのやりきれない思いをぶつけている。

張りつめる二人の「気合い」。この緊張感から生まれる二人のリズムは、言うまでもなく二人の「呼吸」となって、来場者の心に届くことでしょう。


展覧会         :「呼吸」
アーティスト      :谷口登茂子、吉光健大
会期          :2010年3月5日(金) - 3月25日(木)
時間          :11:30 - 19:30 (月 - 土)
オープニングセレプション:3月5日(金)18:00 - 20:00
会場          :Art Beatus
         50 Peel Street, Central, Hong Kong (new space)
               香港中環卑利街50號(新舖)
               tel : +852-2526-0818 (head office)
               email : dyiu@artbeatus.com.hk
               http://www.artbeatus.com
キュレーター      :中村友香 (ARI)

<アーティスト>
谷口 登茂子
第2次世界大戦中のソ連に近い北朝鮮で生まれ、終戦直後に日本へ帰国、原爆直後の広島で育つ。破壊と生産を繰り返す人間が地球上の全体のバランスを崩している事を痛感しながらも、連鎖する生命の神秘にも目を向け、循環
する命の大切さを訴えかけている。

吉光健大
1976年、神奈川県生まれ。2002年武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業。可能性を秘めた存在に強く惹かれる吉光は、自身を被害者にも加害者にもなりえる存在として認識し、制作や展示の場で自己の存在の確認作業として他
者とのコミュニケーションを築いている。

<ギャラリー>
Art Beatus
1992年に設立された、香港の中心、ギャラリーが多数点在するエリア、セントラルのSOHOに位置する現代アートのギャラリー。中国コンテンポラリーアートを扱う他、海外からの才能あるアーティストも常に探している。カナ
ダのバンクーバーに支店を持つ、インターナショナルなギャラリー。

<キュレーター>
中村友香
約10年間のニューヨーク滞在で映像を学び、帰国後広告やデザインのプロデュース業務を経て、2009年に独立。東京を拠点に国内のアーティストを世界に向けて発信し、又、海外のアーティストを国内に紹介する、アーティスト
マネージメントオフィスARIの代表を勤める。

展覧会詳細は、ARI中村までお問い合わせください。

ARI art management office
email   : yuka@ari-art.net
mobile : 080-3244-6992
fax        : 045-546-2361

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